社会的支援は、上司のサポートや同僚のサポートがあるかということです。社内でメンタル不調者が多く出る、もしくは集団分析にてこれらのパラメータが低い場合は、対策を講じる必要があります。
具体策を提示する前に、いくつか断りがあります。まず、企業において各従業員が意図して同部署に配属となるわけではありません。同じ空間で、同じタイミングで所属しているだけです。同じ趣味や性格の一致などから人は自然と親密になったり、離れたりしますが、社内ではそうはいきません。また、年代により受けた教育、社会通念の変化もあり、社会の捉え方や働き方、生き方は大きく変わってきています。また、社内の立場、例えば経営側・従業員側かによっても考え方は大きく異なるでしょう。
これらの変化を無視し、具体策にだけ目を向けても、虚構な対策になってしまいかねません。また社内の状況から対策を自社に落とし込むことも大切になります。これを踏まえ、以下のような対策を参考にしてください。
ハラスメント講習
何が今の社会通念かを知るために、これを導入することは効果があります。自社のやり方を通すことで、実社会の流れとのバッティングや社内での衝突が生まれます。現在のハラスメントの定義を学ぶとともに、最低限のモラルを浸透させることがハラスメント講習のねらいです。
ハラスメント講習として、厚労省の制作した動画はわかりやすいです。
また、パワハラ防止法と言われる改正労働施策総合推進法が大企業はもとより、中小企業でも2022年4月より施行されています。これについても同時に確認しておきましょう。
人事の調整
年度による調整が望ましいと思いますが、年度途中であっても、集団や個人の環境変化が大きい時もあります。社内で他の従業員の上司になった場合、他のサポートができるかどうかには、その本人の精神的ストレスや年齢、経験などが関係します。(もちろん、それぞれのキャラクターも関係しますが)そのため、これらの確認を組織改変の際に確認することが重要です。
メンター制度
職場により、指令系統も様々であり、社内風土も違います。メンタル不調を予防する仕組み作りとしては、メンター制度があります。例として、同部署と他の部署でそれぞれメンターをつける企業もあります。
ストレスコーピング
ストレスの対処法を近年、コーピングやストレスコーピングと呼びますが、これらを新入社員研修や職長研修を通して行うこともメンタル不調を予防する方法です。
ストレスコーピングに関して
前項でメンター制度について触れましたが、メンター制度を設けられた側(主に新入社員)は、時に受動的になってしまう側面もあります。他の事象でも同様ですが、健康への意識が向上することで、主体的になることで、その個人の健康は向上します。自身の改善で調整可能な疾患は多く存在します。生活習慣病であっても、メンタル不調であってもです。他者の助けや薬が功を奏するフェーズもありますが、自身の意思ほど強い助けになるものはありません。
他の具体策
他、以下に幾つかの例を挙げます。
- 上司となった場合、部下と仕事以外の事柄を話す時間を設ける(15分〜30分/1ヶ月)
- オンラインによる同期ミーティング(月1回)
- 有志の定期社内イベントの開催
- 上司に就く場合にモチベーターとしての役割を認識してもらう
- 報連相を受けやすい関係性の構築
- フィードバックを行う
上記、違う側面からの実例になりますが、前半3項目は社内や部署の人間関係の円滑化を図るもの、後半3項目はそうは言っても会社は共同で利益を追求する集合体であり、それに向かってチームや個人がモチベーションをあげることも求められます。不安や恐怖ではなく、一体感や有意味感(やりがい)があり、またどこが良かったのか悪かったのかがわかれば、企業やチームの追求する場所にたどり着くのが容易になることでしょう。
近年では、心理的安全性(The Fearless Organization, Amy C. Edmondson)という概念が、組織を建設的に、そして利益すらあげると言われています。この概念に関しては、また折に触れたいと思います。
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