メンタル不調者が出た場合の経済効果

メンタルヘルス・ラインケア

休職による企業の経済的負担

以下は、内閣府の試算した中小企業におけるメンタル不調者が1人出た場合の経済的損失です。(出典:企業が仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に取り組むメリット(内閣府))

30代後半、年収約600万円男性が休職する場合、

休職前の3ヶ月 周囲の従業員が業務を残業で手伝う(約99万円)

休職期間の6ヶ月 周囲の従業員が業務を残業で行う(約224万円)

休職後の3ヶ月 周囲の従業員が業務を残業で手伝う(約99万円)

上記は休職期間6ヶ月で計算され、合計で422万円の費用がかかります。職域で発生するメンタル不調の代表的なものはうつ病、そして適応障害になります。メンタル不調者の平均休業期間は1回目であれば約3.5ヶ月、2回目であれば約5ヶ月と言われます。それらの機関であれば、試算は上記より低くなりますが、数百万円の費用はどうしても避けられません。また、ケースによっては長引くこと、繰り返す場合は、症状の遷延化や奏功率も低下していきます。近年精神障害等の労災補償件数は増加傾向にあり、個人・組織としての対策が求められています。

出典:第14次労働災害防止計画(厚生労働省)

新規採用による経済的負担

退職による損失は、役職・年齢により費用に上げる項目、コストが変わりますが、共通するのは採用費・教育費です。採用費に関しては、企業で大きな差があるものの、内訳としては、概ね以下のようなものになり、内部コストと外部コストに分けられます。

  • 人事・採用担当者の人件費(内部コスト)
  • 応募者や内定者への交通費(内部コスト)
  • 内定通知などの郵送費(内部コスト)
  • 内定者懇親会などの交際費(内部コスト)
  • 社内紹介などでのインセンティブ(内部コスト)
  • 求人広告の掲載費(外部コスト)
  • 人材紹介のサービス利用費(外部コスト)
  • 会社説明会などの会場費(外部コスト)
  • 会社案内パンフレットなどの採用ツール制作費(外部コスト)
  • 内定者への外部研修費(外部コスト)

内部コストは主に採用者1人あたりに発生し、外部コストは採用者が複数になればその費用は人数あたりで割り算されます。社員1人にかかる採用費は、株式会社リクルートの就職みらい研究所が公表した就職白書2020にて、平均新卒採用・中途採用費が掲載されており、それぞれ93.6万円、103.3万円となっています。ただし、その後のコロナ禍でWeb対応も進み、企業によりばらつきが見られます。

退職による経済的負担

退職による損失は、役職・年齢により費用に上げる項目・コストが変わりますが、共通するのは採用費・教育費です。教育費は講習などの人数割になりますが、年度で一人当たり数万円は発生します。また、費用外の損失としては、人材やモチベーションの低下も発生してしまい、周囲への波及が生じることさえあります。

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